しらんぷり/梅田俊作・佳子作・絵 ポプラ社
まんげつの海/梅田俊作・佳子作・絵 佼成出版社
はなびのよる/梅田俊作・佳子作・絵 佼成出版社
がまんだ、がまんだ、うんちっち/梅田俊作・佳子作・絵 岩崎書店
こんにゃろ!とうちゃん/梅田俊作・佳子作・絵 岩崎書店
学校やすんでとうさんと/梅田俊作・佳子作・絵 岩崎書店
てんぐだいこどんどん/梅田俊作・佳子作・絵 ミキハウス

日曜日の図書館散策で、なにげなく手に取った『しらんぷり』
久々にガッ、ガーーンと、驚いてしまいました。

梅田さんの絵は、以前も他の絵本などで出会っていて、色に動きがあり、線がよく伸び、流れが生まれて、全体が優しさに満ちているいい絵だなと思っていました。

優しさとは、恐怖や哀しみ、不安や怒りがお腹の中にあって、ほんとうに滲み出てくるのですね。
確かに「優しさ」は「人」が「憂える」と書きますが、なんだかこの頃「憂える」ことがない「優しさ」ばかりが漂っていたような気がします。
ぽかぽか暖かく、にこにこ寛容で、よしよし柔らかい「優しさ」が・・・・

しんどい「優しさ」、寂しい「優しさ」、後ろめたい「優しさ」、畏れの「優しさ」、やるせない「優しさ」、怯えた「優しさ」・・・達を、もう一度探しに行こうと思います。

ドナウよ、静かに流れよ/大崎善生 文藝春秋

本を閉じることが出来ずに、徹夜して読了したのは、本当に久しぶりでした。

著者が偶然見かけた新聞の小さな記事「邦人男女ドナウで心中33歳指揮者と19歳女子大生ウィーン」
たんなるベタ記事になぜか惹かれ、とり憑かれた様にのめり込んでゆきます。

何が彼女を、水底に身を沈めさせたのか?
数ヶ月前までは、快活な明るい彼女が、彼との出会いで一変してしまったのは、愛なのか?病なのか?
自称指揮者の彼の行動は、彼女への愛なのか?はたまた病か?

ノンフィクション作品としての出来、不出来は分かりません。
著者の波長が、単に私に合って何度もこの感想文で紹介してしまうだけなのかもしれません。
文章にキレがあるわけでも、深い思念が垣間見えるわけでもありません。
ただ、正直な「裸の迷い」と「目線の低さ」は他に類を見ない気がします。

著者の本は、全て読んでいますが、ノンフィクション作品が特にお薦めです。
『聖の青春』(2000年10月徳さん感想文)『将棋の子』(2002年11月徳さん感想文)『編集者T君の謎』講談社・・・
奥さんの高橋和『女流棋士』講談社も心震えます。

日本ばちかん巡り/山口文憲 新潮社

ちょうど4年前にイスラム教関係の感想文を書き(1999年6月徳さん感想文)キリスト教やユダヤ教については折に触れ書いてきました。
これらの巨大宗教を考える事によって、世界の潮流や人間の「信の構造」が少しでも露わになればと考えての事です。
現実はそれこそ前近代的な宗教戦争の様相を帯び、不可解な憎しみの沼に沈み込んでいるように思われます。
そして、もはやここに到っては、書物を読み解き文化や背景に想像を逞しくして、これらの宗教観や彼らの言う世界共生への夢を考えていた事が、まったくの絵空事のように思わざるを得ません。

世界が、「人間の精神鋳型」によって動いている事は疑いようもありません。
人類の英知や経済活動や社会形態は、あくまでも「精神鋳型」の可逆的な表層をなすもので、限界や到達点でもないのです。
宗教は、この「精神鋳型」に内包されている「信の構造」を体現する最も分かりやすい力学(権力)だと思います。

しかし、どうも私は勘違いしていたようです。
世界で最も影響力があり、微細な文化背景を乗り越え、多数の人間を魅了する宗教は、より最大公約数的な本質に根ざしていると思っていたのです。
何たる愚かなことでしょうか。

本書は、日本の新宗教14組織の本山や本部を訪ね歩いたレポートです。
世界宗教までゆかなくても国内では超有名宗教から、初めて知ったような新興宗教まで、著者の素朴な疑問を含めそれらの教団の背景を分かりやすく書かれてあります。

分かりきった事ではありますが、宗教が宗教として成り立つのは、教祖の言動と教理・教団、そして人間の「信の構造」です。
数億の人間信仰と個の人間信仰は、「信の構造」の萌芽から見ると同位なのです。
もう一度初めから始めなければなりません。
「精神鋳型」へのアプローチのための、「信の構造」巡礼の旅を・・・・
(2003年7月)